寺✕ 廊下
何年か越しにある「知人」の夢を見た。
懐かしくも、当時とはどこか違う宿。
二人の娘を連れた君。
「海に行きたいな」
明るくとも不穏に感じる空気と、
少しの後ろめたさに「やめとこーよ」と答える。
「どんな家に住んでるの?」
そこで目が覚める。
きっと夢で見た姿と現況は、当時とも今ともだいぶ違う。
でも少しだけ、どんな顔だったかを思い出した気がする。
それだけ時間が過ぎたんだなぁと思わず感慨深くなった。
思い出の君がいたからこそ、妻の愛し方を間違えずにいられる。
思い出のままだからこそ...綺麗なままで当時のピリオドをつけられる。
最後の一目からそろそろ10年経つのかな?
どんどん薄れていく記憶の中で、
懐かしい恋心やうまく言えない恐怖という感覚だけが、
ふとしたきっかけで思い出し、
良くも悪くも、僕の気持ちをもやもやさせる。
それと同時に、感情が生きていることを、実感させる。
少しくらいは明るくさせたいから、
答えが決まりきったこの一言で今日の日記を書き終えたい。
「君はまだ、元気に過ごしていますか?」
「〇〇だよ。」
「僕達も、元気に過ごしていますよ。これから先も。」
FIN